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当院院長・近江源次郎が「Eye Surgery バトルロイヤル2 網膜硝子体、斜視編」(発行:株式会社メジカルビュー社 2006年9月10日初版)の「斜視手術」に執筆しておりますので、その内容を転載しお届けいたします。
「Eye Surgery バトルロイヤル」では、専門領域別に5、6名のSurgeon(外科医、Doctor)が質問に対して持論を披瀝する形式で構成されていますが、Web掲載に関しましては、当院院長の記載内容のみ掲載の許諾を得ており、他の方の記載部分は掲載できませんのでご了承願います。
尚、本企画( Eye Surgery バトルロイヤル)は、6年前から眼紀(日本眼科紀要)で掲載が開始されたもので、すでに過去のものとなった手技や禁忌ではなくなったシチュエーションも含まれておりますが、基本的に雑誌掲載時の文章はそのまま掲載しています。雑誌掲載時から変更が生じた手技や方法等は青文字で掲載していますのでご了承願います。
第5回目の掲載内容は「手術時期」についてです。「Eye Surgery バトルロイヤル2 網膜硝子体、斜視編」への当院院長の記載項目は「麻酔法、縫合糸・縫合法、手術、定量法、手術時期、今後の展望」で、各項目別に今後順次Web上で掲載をしていく予定です。


私は超早期手術は施行していない。乳児内斜視に対する手術は世界的な傾向である2歳頃に行うことが多い。シノプトなどを使った両眼視訓練(概要は抑制除去と融像増強)は4歳以上になってから可能なので、2歳前後に手術を行い、眼位の矯正をできるだけ早い時期に正位または正位近くにしておくのが大切と考えている。
ただ年齢的に近見眼位のKrimsky法のみで定量しがちだが、輻湊過多型の内斜視では近見眼位が大きいため、Krimsky法のみでなく、遠見もしくは1mでの眼位を求めて決定することが大切であると考えている(赤外線小児レフ検査、デジタルビデオ(DV)撮影、写真なども参考にできる)

麻痺性斜視の場合、治療の第一は原因疾患に対するものであることはいうまでもない。原因が特定できるまでの間や、経過観察中はプリズムを使ったり片眼遮閉をすることにより患者の苦痛(複視)を軽減するように務める。原因に対する治療にめどがつき、麻痺性斜視の症状固定が確認されれば手術は可能となるが、一般に神経原性麻痺では6ヵ月間は回復の可能性があるので、少なくとも発症後(症状固定後)6ヵ月以上経ってから行う。経過観察にあたり、定期的にHessチャートなどを使って記録することが役立つ。
ちなみに先天性麻痺性斜視は、いつでも手術が可能である。

ここでは症例数の大部分を占める内斜視と外斜視について述べる。
●内斜視
内斜視は外斜視に比べて術後の眼位の変動は少ないが、乳児内斜視の術後に下斜筋過動症が発生しやすいとの報告もあるし、残余内斜視にも注意が必要である。
一般に低矯正のほうが過矯正より多いが、ともに15△以上で再手術の適応と考えている。残余斜視角15△以上の低矯正では、両眼視機能からも外見上からも内斜視が残っているので、通常の内斜視と考えて、完全矯正の眼鏡を装用させた後、やはり15△以上の残余斜視角を認めることが確認され次第手術を行う。一方、15△以上の大角度の過矯正(術後外斜視)の多くは、術前検査の不正確さと、それによる手術量の不適切さによると考えられるが、術前の遠視の矯正が不十分のまま手術が行われることで、術後に遠視の眼鏡を装用する段階で、外斜視が目立つようになることもあり、このような場合には、術後しだいに外斜視が目立ってくるので、経過観察の後に手術によって矯正するのがよいと考える。
ただ、残余内斜視の斜視角が変動する場合は、周期性内斜視の関与か、交代性上斜位(DVD)の関与を考慮する必要があり、周期性内斜視の関与では、1年程度経過観察したうえで、眼位が安定してくれば最大角に合わせて手術を行う。また術後、内斜視になったり、外斜視になったりする場合があるが、このような症例ではDVDが潜んでいることを念頭において、DVDに対する治療を行うか、放置するか、経過観察のなかで決定している。
●外斜視
外斜視の術後に眼位のもどりがあることはよく知られており、意図するかしないかにかかわらず、術後一過性に過矯正をきたした例の術後成績がよいことは多くの報告がある。ただ、過矯正手術で問題になるのは術後内斜視である。過矯正は一過性のものを指すが、最終的に内斜視に陥ったものは術後内斜視とよんでいる。術後内斜視は、5歳未満で手術を受けた子供に多いという報告があるが、両眼視機能が未熟なためと説明されている。強めの過矯正手術を行ったものは術後内斜視になりやすいことは報告がある。また、術後の経過観察中に次第に内斜視が強くなってくる病型もある。過矯正手術に対する手術は、術後1年までであれば通常の手術量の半分程度の量で十分な矯正効果が得られる。
一方、再度追加手術の必要な外斜視についてだが、一般に外斜視術後のもどりはほぼ4年で終了するとされている。術後のもどりが強く、遠見眼位が20△以上になると顕性の斜視になりやすくなるため、再手術の対象となる。近見眼位についてはもう少し大きくても、斜位のことが多いため問題になりにくい傾向がある。本来なら術後のもどりがほぼ完了する4年を待って手術をすればよいのだが、実際には私自身は2年間程度の経過観察の後に再手術をすることが多く、特に問題なく目的を達することができている。

5歳未満の手術では術後内斜視に発展しやすいとされ、それに伴い両眼視機能が失われたり、弱視になることが指摘されているので、5歳以降の手術が適当と考えている。術後のもどりを見越して過矯正手術を行う場合は、術後の複視が学業や生活にあまり支障のない10歳までが適当と考えている。意図的に過矯正手術を行わない場合は成人になってからでも適当な時期に手術を行うことは可能だが、もどりによる外斜視の再発が起こり得ることを患者さんによく説明しておくことが大切である。
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