| ||
|
当院院長・近江源次郎が「Eye Surgery バトルロイヤル2 網膜硝子体、斜視編」(発行:株式会社メジカルビュー社 2006年9月10日初版)の「斜視手術」に執筆しておりますので、その内容を転載しお届けいたします。
基本的に外眼筋の強膜への縫着には、合成吸収糸である6-0バイクリルTM(ETHICON J446)を用いている。6-0バイクリルTMの針はセンターポイントサイドカッティングになっており、組織を引っ張ることなくスムーズな通糸が可能で、より糸で多数の繊維を編んでつくられるので抗張力も強く、しなやかさがある。より糸は繊維の編み目に細菌が付着しやすいという欠点があるが、6-0バイクリルTMは糸の表面にコーティング剤で加工することで予防してある。また結膜縫合には、合成吸収糸である8-0バイクリルTM(ETHICON J548)を用いている。若干炎症が強めだが、術後に抜糸の必要がなく幼児の場合などでは特に重宝する。
adjustable sutureについては、その煩雑さより私自身はほとんど行っていないが、複雑な斜視で移動量の予測が困難な場合には、その再手術を軽減することができる画期的な方法と考える。一般にadjustable sutureの縫合調整は術数時間後から術翌日に行うので、回復室、病棟、診察室、処置室などで通常行われる。だから手術室と同じような滅菌状態を保つことは困難な場合も多く、感染の心配も若干ある。また縫合調整の際には、通常点眼麻酔のみで施行されるため、患者さんの不快感、吐気、眼心反射による徐脈などの合併症に注意が必要となる。私達はadjustable sutureに代わる方法として、導入および覚醒の早いプロポフォール麻酔を無挿管下で用いることで、手術操作中は、一般的な挿管下での全身麻酔による手術のごとく眠らせ、術中定量の際に速やかに(約2分で)覚醒させることで、術中移動量調整を行う方法を用いている。ただ、呼吸抑制や徐脈を引き起こす可能性があるので、麻酔医による管理が必須となる。
私は、乳児内斜視に対する両内直筋後転術では、円蓋部結膜小切開(cul-de-sac incision)で行っているので、control sutureをおかず、助手が鼻下側(例えば右眼では4時半)輪部結膜を把持させ、耳上側へ牽引させるのみで行っている。また、通常の直筋に対する後転術および切除短縮術では、目的筋側の輪部強膜(例えば右外直筋では10時、右内直筋では2時、上直筋では12時、下直筋では6時)へ1糸のcontrol suture(5-0ダクロンTM)をおき、牽引の際に角膜上皮障害を生じさせないように注意しながら、ほぼ対側へ牽引して行っている。また上斜筋の手術では12時に1糸のcontrol suture(5-0ダクロンTM)をおくが、下斜筋の手術では4-0シルク糸(丸針)で付着部付近に下直筋と外直筋へ牽引糸をおいている。
斜筋手術を含むすべての斜視手術で顕微鏡を低倍率で使用している。縫合鑷子については、これまで外眼筋縫合に用いている6-0バイクリルTMを縫合する場合に適当な縫合鑷子が見あたらず、仕方なく右手の湖崎マイクロサージャリー用持針器 止無(イナミKI-46)と、左手の角膜持針器バラッケー型 止付(イナミKI-41)または素手で行っていた。最近は、初川先生の斜視基本4点セット(はんだや製)を使用するようになり、右手に湖崎マイクロサージャリー用持針器 止無(イナミKI-46)と、左手に初川式縫合鑷子(はんだやHS-9806)を使用することで外眼筋縫合(6-0バイクリルTM)だけでなく、結膜縫合(8-0バイクリルTM使用)も問題なく顕微鏡下でできるようになった。 | ||
|
| ||