弱視と外斜視について、当院院長・近江源次郎が保健同人社刊「暮しと健康」に質疑応答形式にて原稿を寄稿しておりますので、その内容を転載しお届けいたします。

(以下、保健同人社刊「暮しと健康」2000年5月号より)


三十二歳男性。子供の頃から左眼が外斜視で、視力は0.7です。左眼の視力は今も変わらず、眼鏡をかけてもそれ以上は見えません。
最近、右眼の視力が0.1まで下がったため眼鏡をかけていたのですが、右眼だけコンタクトレンズを使用するようにしたところ、右眼も外斜視ぎみになってしまいました。コンタクトレンズの使用によって、このような症状がでることはあるのでしょうか。それとも、コンタクトレンズの使用とは関係なく、ほかに原因があるのでしょうか。(千葉県 Y・A)

 生まれたばかりの赤ちゃんは、明るいか暗いかぐらいしかわかりません。しかし、成長するにしたがって視力が発達し、一か月くらいで物の形が、二か月くらいで色がわかるようになります。また四か月になると、動く物を追って眼を動かせるようになります。そして、六歳頃には大人と同じくらいの視力をもつようになります。

 子どもの視力が発達するためには、毎日物を見る必要があります。これは、眼から受けた刺激を脳が正しく理解するために、訓練が必要だからです。ただし、訓練といっても特別なことをするわけではありません。眼を開けていろいろな物を見ているうちに、眼からの刺激を脳が正しく理解するようになるのです。

 子どもの視力が発達する過程で、この物を見る訓練ができずに視力の発達が抑えられ、止まってしまった状態を弱視といいます(近視で眼鏡をかけると見えるようになる場合は弱視とはいいません)。

 物を見る訓練ができずに弱視になる原因として、次のようなものがあります。

1.斜視があると、両眼視ができないために物が二重に見えます。物が二重に見えると脳が混乱するため、斜視になっている片方の眼を使わなくなり、使わないほうの眼が弱視になる場合があります。これを斜視弱視といいます。

2.遠視があると、近くを見るときも遠くを見るときもはっきりと見えないため、視力が発達せずに弱視になる場合があります。

3.生まれつき白内障などの眼の病気がある場合、あるいは乳幼児期に片眼に眼帯を長い間(三〜七日間程度)つけたりした場合、物を見る訓練ができずに弱視になる場合があります。

弱視の治療についてですが、視力の発達が抑えられている期間の長さや程度によって、よくなる場合とならない場合があります。遠視が原因の場合には遠視用の眼鏡をかけます。そのほかの場合は弱視の視力増強訓練を行う必要があり、これは遮閉法という方法で行います。

遮閉法は、一般に七〜八歳までは有効で、三歳くらいまでに弱視が見つかれば治る可能性はかなり高くなります。その意味で、三歳児検診の視力検査による早期発見はたいへん重要となります。

相談者の場合、子どもの頃から左眼は眼鏡をかけても0.7とのことですので、左眼は弱視と考えられます。その原因としては、上記の1〜3のすべてがあてはまります。また「右眼だけコンタクトレンズを使用するようにしたところ、右眼も外斜視ぎみになってしまった」とのことですが、おそらく右眼(視力0.1)は近視が進行した結果、コンタクトをはずしたときは視力のよい左眼(視力0.7)で見ようとするため、外斜視になっていると考えられます。

相談者は現在三十二歳ですので、残念ながら視機能の改善は望めませんが、外斜視に対する斜視手術を行うことで、整容上で大きく改善することがあります。一度、専門医の診察を受けられることをおすすめします。

 


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