快適な気分でドライブを楽しんでいる時でも、車の運転中はドライバーの身体にいろいろな負担がかかっています。「目の疲れ」はそのひとつ。目の健康について、阪神高速道路公団広報誌「阪神ハイウェイ」に当院院長・近江源次郎がインタビューを受けましたので、その内容を転載しお届けいたします。

(以下、阪神高速道路公団広報誌「阪神ハイウェイ」2003年秋号より転載)

 車を運転する際、私たちは情報の入手をほとんど目によって行っています。前方をしっかり見ることで目は疲れやすくなり、さらに長時間の運転をしたり、雨の日や夜間に走る場合は心理的なストレスも加わって、疲労が大きくなります。

 ただし「目が疲れた」と感じても、一晩寝れば解消されるのなら、「眼疲労」という生理的な疲労に過ぎません。ところが目の疲れが慢性的な状態で、何らかの治療が必要になった場合は、眼精疲労と呼びます。眼科に来られる方で、目の疲れを訴える方の多くは、ドライアイか、種々の原因による眼精疲労の患者さんです。

 ドライアイとは、涙の質・量の低下、まばたきが少ない、涙が蒸発しやすい等により、目が乾く病態で、目がコロコロするように感じたり、充血したり、視力が落ちたりします。トラックやタクシーの運転手さんなど、長時間運転をする方は、主にまばたきが少なくなり、ドライアイになりやすい条件下にあります。

 通常、人は1分間に10〜20回まばたきをしていますが、車の運転に集中して凝視すると、まばたきが5回程度にまで減る方も多いといわれています(パソコンの操作でも同様です)。そうなると目が乾燥し、さらに睡眠不足やコンタクトレンズ使用などの要因も加わって、症状が現れやすくなります。

 軽いドライアイであれば、意識的にまばたきの回数を増やすことで改善する場合もあります。それでも改善しない場合は、少なくなった涙を補充する目的で、「人工涙液」という涙の成分に似た液体を必要に応じて点眼します。なお、一般の目薬(医療機関で処方されたり、薬屋さんで市販しているほとんどの目薬)は、一日に6回もしくは7回以上点眼してはいけないことになっています。一般の目薬は、開封すると雑菌が入ることを考えて防腐剤が含まれており、頻回に点眼すると、その防腐剤が角結膜上皮に悪影響を与える恐れが出てくるからです。ただしドライアイの方のなかには、毎日10回以上目薬しないといけない方もおられます。その場合は防腐剤が入っていない人工涙液を用います。防腐剤が入っていない人工涙液は一日に何度でも点眼できますが、そのかわり一般の目薬とは違い、開封後の使用期限が大変短く、取り扱いに注意が必要です。

また、ドライアイの原因として、シェーグレン症候群、慢性関節リウマチ、糖尿病などの全身の病気が原因となっている場合もありますので、ドライアイの症状に気づいた場合は、どの程度のドライアイなのかを眼科医に診察してもらい、どの治療法が最適であるかを判断してもらうことが大切です。

 長時間の運転や、雨の日や夜間など見えにくい環境では、特に目を酷使しがちですので、いかに見やすい(認識しやすい)状態で見ているかが、目の疲れを予防するために重要となります。近視、遠視、乱視(縦方向と横方向でピントの合う距離が異なる)などの屈折異常や、不同視(両眼の視力に差がある)がある場合、斜視(両眼の視線が目標に正しく向かわない)がある場合など、その程度にもよりますが、目の疲れの原因として大きく関わってきます。

 また、加齢によっても屈折状態や斜視が変化しますし、運転時に使っているメガネが自分の目に合わなくなっている場合もあります。日頃からだんだん見えにくい状態が多くなってきていると感じる場合は、乱視や斜視などの屈折異常・眼位異常がないか、眼科で検査を受けてみてください。

 一般に目の病気は、年齢が上がっていくにつれてかかる割合が高くなっていきます。そのもっとも顕著なものが白内障と緑内障です。ともに視機能に障害が起こる進行性の病気ですので、目の疲れの原因としても注意が必要です。

 白内障は、早い人では40歳代からはじまり、加齢によってその頻度・程度が増加し、80歳以上では100%の人が白内障だともいわれています。白内障は目のレンズの役割を果たしている水晶体が白く濁る病気で、初期の段階ではまぶしさを強く感じたり、視力が落ちてメガネが合わなくなったりします。白内障は初期のうちには薬によってその進行を遅らせることができる場合がありますが、完全に治療することはできません。しかし手術などの適切な治療により、視力の回復が望める疾患です。 

 一方、日本人の50歳以上の20人に1人がかかっているといわれるのが緑内障です。何らかの原因で視神経が障害を受け、視野が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその病因のひとつといわれています。一般的に緑内障では、視神経の障害はゆっくりと起こり、視野も少しずつ狭くなっていくため、目に異常を感じることはほとんどありません。ですから最も重要なのは早期発見・早期治療です。一度障害を受けた視神経をもとにもどす方法はなく、病気の進行をくい止めることが治療目標となります。40歳以上の方は定期的に眼底・眼圧・視野の検査をし、早期発見することが求められます。

 目になるべく負担をかけずに運転するには、1時間につき10〜15分の休憩をして目を休ませる。これが理想です。でも現実にはそんなにこまめに休憩をとるのは難しいのではないでしょうか。

 そこで、パーキングエリアなどで休憩している時に、目薬を点眼されることをおすすめします。目薬をさすと、ドライアイの改善や毛様体筋への疲労改善作用だけでなく、大脳の覚醒作用により疲労改善効果があるからです。また、目の周囲のツボをマッサージすることも、目への血行が促進され、疲労改善効果があるといわれています。

 車の運転をしていると、どうしても目に疲れを感じます。ですから自分の目の状態を知り、その疲れの原因や、疲れを改善する方法を知ることが大切です。疲れが気になる時は眼科医に相談し、常に目の健康チェックに気を配るようにしてください。

 両手指を使って3つのツボを左目・右目同時に刺激するのがポイント。人差し指で「太陽」、中指で「魚腰」、薬指で「攅竹」のツボを押さえます。いずれも指の腹で押し、あまり強く力を入れすぎないようにします。押さえる時間は1分前後が目安です。

 なお、ツボの刺激は必ず休憩時にしてください。車の運転中は危険ですから、行わないでください。

指導/野々井はりきゅうIN森ノ宮 院長 野々井康治さん

 特に夜間運転時の視認性を向上させ、眼疲労の発生を少なくするために、フロントガラスやヘッドライトのガラスをきれいに手入れしておくことも重要だと思います。また、車内で生じるフロントガラスへの映り込みも大変危険ですから、ダッシュボードにはなるべく物をおかないことが大切です。


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